塗料の耐候年数のお話　～促進耐候性試験について～

外壁を眺めて”うちもそろそろかな。”と意識し始めて、どんな塗料があるのだろうと塗料の製品カタログやパンフレットを眺めていると
「促進耐候性試験」により、試験結果で○○年以上相当の光沢保持率を保持しました！との内容を見かける事があります。
塗料メーカーは、様々な試験方法で塗料の耐候性を評価しています。今回は「促進耐候性試験方法」、「促進耐候性試験の内容」、「測定方法の種類」、「促進耐候性試験の評価方法」などを解説いたします。
塗料選びの際の豆知識としてぜひ参考にされてください。

～促進耐候性試験とは～

「耐候性」とは、塗料やプラスチック等の高分子材料が屋外で使用された場合に、「変形・変色・劣化等の変質を起こしにくい性質」のことを言います。
そして「促進耐候性試験」とは、塗膜の劣化要因である「紫外線・熱・水（雨）」の強さを人工的に増幅させる専用機械に塗膜の試験体サンプルを晒し、その状態変化を測定し評価する試験です。
屋外での自然暴露試験で耐候性を評価する場合には、製品開発から発売まで、実に10年以上もの時間を要してしまうことになります。
そこで塗料メーカーの多くが、自然暴露試験よりも短い時間で耐候性を評価できる促進耐候性試験を導入しています。
なお、促進耐候性試験は、前述のように、人工的な試験環境下での評価となりますので、あくまで参考指標であり、正確な耐候性を保証するものではありません。実際の自然暴露環境下では、塗装前の下地の状態、施工方法、気象条件等により耐候性は異なる場合があります。

～測定方法の種類～

塗料業界で主に採用されている促進耐候性試験を、2種類ご紹介いたします。
キセノンランプ式試験
太陽光を再現して試験を行うので屋外暴露試験との相関性が高い試験と言われています。国際的にも多く利用されていて日本でも塗料のJIS企画で採用されています。

スーパーUV（SUV）式試験
太陽光と比較して、紫外線が数十倍強い光を使用しているため、キセノンランプ式試験よりもさらに短い時間で劣化を促進させることができます。ただし、試験結果と自然暴露環境下での耐候性のズレが、キセノンランプ式試験より大きくなる可能性があります。
スーパーUV式試験では、高耐候性で劣化までに時間を要する無機塗料などの耐候性目安として用いられます。

～促進耐候性試験方法～

①前述の各促進耐候性試験機を用いて、各塗料の耐候性を評価します。
②両試験機ともに、試験板に測定する塗料を塗布した試験体サンプルを作成します。
③促進耐候性試験機に試験体サンプルをセットし、人工光源による紫外線・噴霧器による水・恒温機による熱をサイクルで発生させ試験体の塗膜の劣化を促進させます。

～促進耐候性試験の評価方法～

促進耐候性試験の評価方法は塗料の種類によって異なります。
ここでは、一般的に行う艶有エナメル(色付き)塗料の耐候性測定方法をご説明いたします、艶調整塗料やクリヤー塗料では評価方法が異なります。
艶有エナメル(色付き)塗料の耐候性を測定する際は、光沢計を用いて光沢保持率（※以下に説明を載せます）を確認していきます。
光沢保持率80%未満になると、塗膜の表面劣化が始まったとみなし、そこまでの時間を耐候性保持の時間として評価します。
※光沢保持率：劣化前の塗膜表面光沢度を100%とし、劣化後にどれだけの塗膜表面光沢度を維持できている割合

「促進耐候性試験の内容」、「測定方法の種類」、「促進耐候性試験方法」、「促進耐候性試験の評価方法」などについてご説明いたしました。
こういった試験によって塗料の耐候性は評価されています。これから外壁塗装される際の塗料選びの参考にしていただければ幸いです。

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