［中塗 → 上塗］ と ［上塗 2回］　の違いとは？

　御自宅の塗装の事を調べている時に、「中塗り」→「上塗り」なのか「上塗り2回」なのか？　何がどのように違うのか疑問に思われたことないでしょうか。

　一般的に、戸建ての建物の外壁塗装では、「中塗り」と「上塗り」は同じ材質の塗料を使用します。
その理由は大抵の上塗塗料は、２回に分けて「塗布量（１㎡当たりに使用する塗料の量）」を塗装する事で性能を発揮する設計となっているからです。
なので「中塗り」→「上塗り」、「上塗り2回」というのはどちらも”上塗り塗料を2回に分けて塗装する”という事です。
　※ここで最重要なのは「塗布量」です、たとえ2回塗りしても必要塗布量に達しなければ十分な性能は確保されません。
　”２回塗る事が大事！”ではなく”必要な塗布量を塗装する事が大事！”という事です。
塗布量が足りなければ2回といわず何度も塗り重ねる必要が有ります。

「中塗り」と「上塗り」の色を異なる色にする方が良いのか？

　「中塗りと上塗りに同じ色を使うと、中塗りを省略するなどの手抜き工事をされる恐れがある」と言われる事があります。
残念ながら”そのような事を行う業者はいない”とは言えません。
しかし、中塗りと上塗りの色を変える事は審美性やコストパフォーマンスに直結する下記のようなリスクもあります。

・塗膜の劣化が進行すると、同色で塗った場合よりも見た目の変化が速くなる。
　塗装後、時が経つことでどうしても塗膜が劣化してしまいます、その中で上塗の塗装が摩耗すると、中塗り(上塗り1回目)が表に出てくる事になります。
同色で塗装している場合と塗膜性能的には問題なくとも中塗りの露出部分は見た目が変わってしまいます。
※適切に施工されており、毎年定量摩耗していくと仮定する場合、期待耐用年数の半分程経過すると中塗りが露出する事になります

・塗料の余分量が増え、塗料代が余計に掛かる。
1缶当たりの塗料缶の容量は決まっていますので、必要塗布量を塗装する為に発注すると少なからず余分な塗料が発生します。
中塗りと上塗りを異なる色で塗装した場合には中塗りの余分量を上塗に転用できないので余計に塗料代が掛かってしまいます。

例えば、1工程で塗料が1.4缶分必要になる場合購入する塗料の缶数は・・・
同じ色の場合　中塗り1.4缶 ＋ 上塗り1.4缶　計2.8缶 → 繰上 計3缶
（中塗り工程の余分量を転用できる為、繰上は合計数量を元に行います。）
違う色の場合　中塗り1.4缶 → 繰上2缶 ＋ 上塗り1.4缶 → 繰上2缶　計4缶
（余分量を転用できない為、必要缶数の繰上は色毎で行う事になります。）

中塗りと上塗りで異なる色の塗料を使用するケース

・マンションなどの大規模な外壁塗装
塗装範囲が広く、数日掛けて一工程を完了させる時に乾燥時間を十分に取れた部分から追いかけて塗装する場合や、職人それぞれがバラバラに塗装をする中で工程の
途中から作業に入る事になった場合等どこまで塗装できているかを明確にするため、中塗りと上塗りで別の色を使用することがあります。

※中塗りが必須になる特別な塗装仕様
・デザイン塗装
凹凸の差が有る外壁材の時に中塗りと上塗りに異なる色を使用することがあります。凸凹の上辺だけを別の色で塗装する事でデザインとして中塗りの色を残す塗装です。ただしこの場合塗料の基準塗布量を守るため、そして色の発色をよくするために中塗り、上塗りそれぞれに複数回の塗装が必要になります。

・デザイン性の高い“意匠性塗料”による塗装
中塗りを下地に、上塗りにクリヤーとして意匠を凝らす塗料もあります。中塗りと上塗りの材料が全く違う物になります。
例えば…　アステックペイントのグラナートSPという塗料では
中塗りは「ベース色」となり、上塗りは「塗膜チップを含んだクリヤー塗料」を塗装する事で独特の凹凸感が生まれ多重的で落ち着いた色味が再現できます。

今回は「中塗り」→「上塗り」と「上塗り2回」について解説致しました。
ご要望や条件、デザイン塗装などの仕様による必要性が無いのでしたら上塗りは経済的にお得な同じ色での塗装をお勧めします。

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